尊敬語:시・님と、語そのものが変わる語
日本語の尊敬語・謙譲語とほぼ同じ構造です。対応表で一気に片づきます。
日本語と同じ二本立て
聞き手への丁寧さ(해요체・합쇼체)と、話題の人物への尊敬(시・님)は別系統です。日本語の「です・ます」と「いらっしゃる」の関係と同じで、独立して組み合わせます。
| 할머니가 오세요. | おばあさんがいらっしゃいます — 話題の人を上げ、聞き手には 해요체 |
| 친구가 와요. | 友達が来ます — 尊敬不要 |
시 は日本語の「〜れる/られる」「お〜になる」に当たる
語幹と語尾の間に -시- を挟みます。挟むだけで尊敬になるので、日本語より規則的です。
| 가요 → 가세요 | 行きます → 行かれます |
| 읽어요 → 읽으세요 | 読みます → お読みになります/お読みください |
가세요 が「行かれます」とも「行ってください」とも取れるのは日本語の「お読みください」と同じ構造です。안녕히 가세요 が別れの挨拶になるのもこれです。
님 は「様」「さん」に当たる
職名・役割に付けて相手を上げます。日本語の「部長」+「様」より使用範囲が広く、接客・ネット上でも頻出します。
| 선생님 | 先生 |
| 사장님 | 社長 |
| 고객님 | お客様 |
| 어머님 | (他人の)お母様 |
語ごと変わるもの — 日本語と対応する
日本語の「食べる→召し上がる」「いる→いらっしゃる」と同じ現象です。数は少なく、対応させて覚えられます。
| 먹다 → 드시다 | 食べる → 召し上がる |
| 자다 → 주무시다 | 寝る → お休みになる |
| 있다 → 계시다 | いる → いらっしゃる |
| 말하다 → 말씀하시다 | 言う → おっしゃる |
| 집 → 댁 | 家 → お宅 |
| 나이 → 연세 | 年齢 → お歳 |
| 이름 → 성함 | 名前 → お名前 |
謙譲語もある
自分を下げる形も日本語と対応します。
| 나 → 저 | 私(改まった形) |
| 주다 → 드리다 | あげる → 差し上げる |
| 묻다 → 여쭙다 | 聞く → お伺いする |
| 보다 → 뵙다 | 会う → お目にかかる |
やりがちな誤り
- 自分に 시 を付ける。 저는 갑니다 が正しい形です。
- 物を敬う。 커피 나오셨습니다 は日本語の「コーヒーになります」に似た違和感で、韓国でも誤用とされます。
- 身内に尊敬を使わない(日本語式)。 前記事のとおり、韓国語では身内も上げます。
- 드리다 と 주다 を逆にする。 目上へは 드리다、目上から自分へは 주다。
- 님 を省く。 선생 だけだと素っ気なく響きます。
仕上げ方
構造は日本語と同じなので、覚える量は多くありません。問題は口が回るかどうかで、特に 드시다・계시다・주무시다 のような語ごと変わるものは規則から導けないため、声に出した回数がそのまま定着になります。